北インド古典音楽であるヒンドゥスターニー音楽の巨匠であり、サントゥールという楽器を改良し、独自の演奏法を編み出したパイオニアでもあるPt.シヴ・クマール・シャルマ氏の講演会を開催いたします。
サントゥールの音色は、まるで湖面に反射する光の粒のように優しく、心に染みわたります。一方で、「0」を発見したインドならではの古代サンスクリットの数学的側面も持ち合わせ、幾何学的な音の曼荼羅構造も持っています。
甘美な音と厳格なシステムに裏打ちされた構造が合わさり、聴く者の心にシャンティー(平和)を生み出すのです。
今回はそのような音の世界を半世紀にわたって創り上げてきたシャルマ先生に、ご自身の半生について語っていただくことで、日本の皆様にインド音楽の深淵に触れていただきたいとおもっております。
*今回の企画はコンサートではございませんのでご注意ください。
✴︎日時
2017年5月5日(祝)
18:00~19:00(17:00会場)
このイベントは終了いたしました。
お越しいただい方々に、心から御礼申し上げます。
✴︎場所
KoKoKa京都市国際交流会館 特別会議室
✴︎お申し込み方法
参加料 5000円(要予約)
*予約は http://goo.gl/TukcN4
から
✴︎お問い合わせ
沙羅双樹京都(代表井上)
sarasojukyoto@gmail.com
✴︎キャンセルポリシー
キャンセル料としましては、3日前から50%
当日キャンセルは100%をいただきます。
ご了解の上、お申込みくださるようお願い申し上げます。
✴︎後援 公益財団法人 京都市国際交流協会
大阪 インド総領事館
この企画は日印交流年記念事業に登録されています。
ワークショップ in 八瀬菊の会文化交流会館
シャルマ氏のサントゥールワークショップは5月2日-6日の5日間に渡って比叡山の麓、八瀬の菊の会文化交流会館において開催された。菊の会は尾上流の稀代の舞踊家、畑道代師匠によって創られた舞踊集団で、数々の海外講演をおこなうなどの業績を残している。
筆者は八瀬に住む者として、その存在は知りつつも、何か別次元の世界という印象をもっていたので、まさかシャルマ氏のワークショップをこの場所で開催させていただけるとは思っていなかった。しかし、意を決して飛び込んでみると意外にも、あっという間にご縁が繋がり、日本の匠の芸が極まった風情あるこの場所に、インドの至宝シヴ・クマールシャルマ氏をお迎えすることができた。
この貴重な5日間で、サントゥールの技を磨いた総勢5名の弟子たちにとっても、心に残る得難い経験となったことだろう。
会場をお貸しいただいた菊の会の方々には、この場をおかりして、心より御礼を申し上げたい。
講演会の様子
連休の中日にも関わらず、会場には80名を越す多くの方々にお集まりいただきました。
シャルマ氏の講演に先立ち、3つのテーマを選ばさせていただきました。それは⑴サントゥール、⑵音楽の精神性、⑶伝統の継承です。
⑴については、どのようにしてシャルマ氏がサントゥールと出会い、この楽器をインド古典音楽の代表的な楽器として昇華させたのかを、故郷であるカシミールの音楽文化を振り返りながら、語っていただきました。
⑵についてはインドの音楽がエンターテーメントでは無く、深い精神性によって導き出される音楽であることを、自らの言葉で述べていただきました。ナビゲーターをつとめさせていただいた私は当初、インド映画音楽におけるシャルマ氏の業績についてふり返っていただこうと考えていましたが、シャルマ氏が日本に滞在しておられる間に、氏の音楽を支えているものは、敬虔な信仰心と崇高な精神性であると気づかされ、急遽テーマを変更させていただいた次第です。そのことによって、今回の講演会の場の空気は知的でありながら、非常に深い内面的な充実感を生むものになったと思っています。
⑶については、彼が日本でワークショップを開催している意義や、自分が創り上げてきたサントゥールの伝統が脈々とこの日本に伝えられてきていることへの喜びを語ってくださいました。そして、日本の聴衆に向けてのシャルマ氏の信頼と祝福が述べられました。
今回は、講演ということで演奏はありませんでしたが、シャルマ氏の自伝書を翻訳し、出版した暁にはぜひ日本でシャルマ氏のコンサートを開きたいと思っております。今回の講演を通して、シャルマ氏の音楽の旅路がさらに進化をとげていくのではないかと期待をいだきました。
シャルマ氏には今回の講演会の成功とお越しいただいた方からの心のこもったフィードバックをお伝えさせていただきました。インドのシャルマ氏はそのことを大変光栄であると、喜んでおられました。
お越しいただいた方々には心より、感謝いたします。
どうもありがとうございました。
井上春緒